離婚の際には、親権、養育費、自宅の財産分与、慰謝料など、決めなければならないことがたくさんあります。
ところで、離婚時に動産(家財道具等)について揉めた場合、裁判でもなかなか解決できず、弁護士にとって非常に悩ましいんです。
離婚時に動産をどう分けるのかについては、法律上の決まりはありませんし、この点を主たる争点として判示した裁判例はほとんどありません。実際に激しい争いとなって、売却して売却代金を折半すると言っても、中古の動産はほとんど価値がつかないため、裁判で争われることは少ないのでしょう。
もっとも、売却価値がなくても、当事者にとってはすごく重要な物もあります。
過去によく争いとなったのは、「子どもの小さい頃のアルバムや写真をどちらが取得するか」です。親権者側としては、当然子どものために自分が取得すると主張するのですが、他方で非親権者側としては、「そっちはずっと子どもと一緒にいれるんだから、写真くらいはこちらが取得すべきだ」というケースも結構多いです。
また、共に引っ越しをする場合、エアコンが取り合いになることもあります。
過去には夫婦共に熱心に信仰している宗教の経典をどちらが取得するかで争いとなったこともあります。
結局のところ、動産については、どちらかが単独で使用している物は使用者が取得する、いずれもが使用している物はだいたい半分になるように分ける、というあたりが落とし所なんですが、感情的なもつれがあることもあり、揉め出すと本当に大変なんですよね。