知人や友人など、個人に対してお金を貸したけど返ってこない、という相談はよくあります。
借用書や貸付けの事実があれば、弁護士に依頼すれば簡単に取り返せそうな気もしますが、実は弁護士にとってすんなりとは解決できないことが多いって知っていますか?
そもそも、みなさんは数十万円とか数百万円というお金が必要になったというときに、最初に知人から借りようと考えますか?
普通は、銀行で借りようとか、すぐに返せるなら銀行やクレジットカードのカードローンで借りてみようとか、または親に泣きつこうと考える人が多いのではないでしょうか。
一般論ではありますが、知人や友人からまとまったお金を借りようと無心してくる人は、既に親からも何度か借りていてこれ以上借りられず、さらには信用情報も焦げ付いていて、カード会社や金融機関でも「この人にこれ以上貸しても回収ができないリスクが高い」と判断されている人である可能性が高いように思います。
カード会社や金融機関のような、いわゆる「貸付け・債権回収のプロ」ですら、リスクが高いと言える人に貸してしまうと、返ってこない可能性はもちろん高いですし、いくら弁護士に依頼をしたとしても相手に資産がないと結局は回収できない可能性が高くなります。
弁護士の仕事をしていて思うのは、知人や友人から「お金を貸して」と言われても、基本的には断ること。金融機関等で借りてくれと言うこと。
そして、どうしてもそれでは相手がかわいそう、助けてあげたいと思うのであれば、貸すのではなくあげる(援助する)ことです。
貸したのに返ってこないとなると、貸した方も相手が憎くなりますし、他方で、何度も督促をすると借りた側も相手を憎むようになり、結局友人・知人関係が崩壊します。
あげたと思えば、返ってくることを期待しないですし、仮に返ってきたらラッキーですし、友人・知人関係も変わらず、むしろ感謝されます。
友人や知人から、「すぐに返すから」、「絶対に利息をつけて返すから」と言われても、お金の貸し借りについては十分に慎重に判断してくださいね。
弁護士 中井陽一